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川口学園
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お菓子解雇
事件
何が問題か 憲法裁判
としての
川口学園事件
賛同
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『憲法裁判としての川口学園事件』

1.事件の争点と背景

 川口学園事件の問題点は、それが憲法の人権規定の解釈を真っ向から問うものだということです。なぜなら、労働組合が行ったいわゆる街宣活動が、営業妨害として訴えられ、争われている事件だからです。そもそも労働組合の指揮する争議行為は、基本的に営業を妨害する種類の行為(例えばストライキなど)ですから、それが不法行為だとすれば、労働運動のあり方を根底から覆すような大変な問題です。 労働組合というのは、単なる任意団体ではなく、憲法28条の労働三権に基づいて、その活動を保障されている組織です。だからこそ労働組合法8条によって、「使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない」のです。もし請求することができない賠償が認められるなら、この事件における街宣活動は、正当なものではないということになります。

 また正当でない街宣活動は、市民の表現の自由としても認められません。なぜなら、市民は自分の政治的信条を公にする権利を表現の自由として持っているわけですが、これが労働組合ではなく市民の手による街宣活動だったら許されるのであれば、そもそも禁止されるわけはないからです。つまりこの事件は、具体的に憲法が保障する労働三権や表現の自由は、誰にどのように保障されているのか、いつ、どのような条件でそれを制限されるのかについて、「正当な街宣活動とは何か」という題材を使って、明確な線引きを裁判所に求めているわけです。

 したがって、この事件の判決において裁判所は、憲法27・28条の勤労の権利と労働三権、憲法21条の表現の自由、間接的には勤労の権利と連動する憲法25条の生存権について、その意義と限界に関するなにがしかの判断を下さなければなりません。またそれら人権規定の実現手段として制定された労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の解釈も示さなければならないでしょう。逆に言うと、それらの解釈なしにこの事件についての判断を下すことは全く不可能です。だからこの事件は憲法裁判なのです。

(続く)

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